20世紀に Firenze で製作を行っていた最も重要な製作者の一人。当初は彫刻を学んでおり、弦楽器は独学で製作したと言われる。やがて Leandro Bisiach からその才能を高く評価され、1917年から Milano の Leandro Bisiach の工房で働きはじめる。これ以降、 Bisiach 一族との関わりが深く、一族の長 Leandro の為に多数の弦楽器を製作しただけでなく、 Carlo 、Giacomo 、 Leandro Jr. 等その息子達とも協力関係を継続し、彼らの後見人とも言える存在だった。 Sderci は当代の一大勢力である Milano スクールの一員である。
1930年には故郷 Firenze に戻り独立するが、自身の作品として弦楽器を製作する傍ら、先述の通り Leandro Bisiach や、その事業を継承した Giacomo と Leandro Jr. 、また、同じ Firenze の地で工房を構えていた Carlo の為にも弦楽器を製作していた。1937年と1949年には Cremona の展示会で金賞を受賞している。多作家であり、ヴァイオリンとヴィオラを合わせて700本程度を製作したと言われている。チェロを製作しなかった(ヴァイオリンの数倍の手間が掛かる。1本だけ製作したらしい)ことも多作の要因であろう。
なお、 Sderci の手が入った作品であっても、 Leandro Bisiach の工房から世に出たものは Leandro Bisiach として扱われる。 Giacomo & Leandro Bisiach 、 Carlo Bisiach の工房についても同様である。そうした作品は、材料やニスが各工房独自のものであったり、Sderci 以外の手も入っている場合があるので、純粋に Sderci 作と切り分けるのは困難であるが、 Sderci の特徴は強く出るのでわかりやすいのも事実である。ある意味 Sderci の作品は、Bisiach ファミリーの著名作品の同等品が割安に入手できる『お買い得品』という考え方もできる。